TikTokでの成功は、なぜローカルでは見えにくいのか?

「TikTokを使って成果が出た。」
そう言われても、ローカル企業の多くはピンときません。

「それは東京のベンチャーか、ダンスが上手い店員がいる店の話だろう」
そう感じるのも、無理はありません。

ただ、その認識は半分正解で、半分間違いです。

TikTokに関する最新のデータ(2025年時点)では、日本のTikTokユーザーの平均年齢は39.2歳まで上昇し、月間利用者数は4,200万人を超えています。
つまり、あなたの店に来る「30代〜50代の普通のお客さん」も、日常的にTikTokに触れている可能性が高いということです。

「成功していない」のではなく、「見ている指標が違う」

まず整理しておきたいのは、
TikTokがローカルや中小企業に向いていないわけではない、という点です。

起きているのは、
本来は複合的に評価されるべき成果が、「バズ(再生数)」という分かりやすい指標に回収されてしまっているという現象です。

同じTikTokを使っていても、成果の設計段階が違えば、見えてくる景色は変わります。

この違いは、規模や能力の差ではありません。
成果を測るための物差し(KPI)と、成果が見える範囲(可視性)が、構造的に異なっているのです。

KPI設計が整っている組織と、これから整える組織では何が違うのか

ここでいう違いは、企業規模の話ではありません。
同じ中小企業でも、計測環境や運用体制によって、成果の見え方は大きく変わります。

観点KPI設計が整っている組織これから設計する組織(現場運用中心)
KPI設計ROI・CPA・売上リフト(Sales Lift等で数値化)来店・問い合わせ・指名検索(レジ横の会話や肌感覚)
可視性ほぼすべて数値で把握可能効果が分散し、見えにくい
中間指標CTR・CVR・ブランドリフト保存数・「動画見たよ」という声
時間軸短期〜中期(施策単位で判断)中長期(信頼の蓄積)
役割投資対効果の最大化選択肢に入り続ける

※ どちらが優れている、という話ではありません。設計の段階と、評価の前提が違うだけです。

なぜこの「ズレ」が生まれるのか

KPI設計が整っている組織では、広告に接触した人と、接触していない人を比較し、

  • 売上がどれだけ伸びたか
  • 来店率にどの程度差が出たか

といった点を、調査や分析によって後から検証できます。

一方、現場運用が中心の組織では、こうした大規模な調査を行うための予算や体制を確保できないことがほとんどです。

その結果、

  • データとしては見えない
  • 計測ツールでは拾えない

けれど、

  • 「動画見たよ」と声をかけられた
  • Googleマップで店名検索が増えた
  • 初来店の理由としてTikTokが挙がった

といった分散した小さなシグナルを、現場感覚として拾い集めて評価することになります。

この「測れている世界」と「感じている世界」の違いが、「成功が見えにくい」という感覚を生んでいます。

ローカルが狙うべきは「検索された時の受け皿」

短期的なバズを狙うかどうかに関わらず、ローカルや中小が意識したいのは、検索された時の受け皿になることです。

現在、TikTokは「動画を見るアプリ」から、「体験を調べる検索エンジン」へと役割を広げています。

たとえば、

  • 「週末 ランチ」
  • 「近くの美容室」
  • 「〇〇市 カフェ」

こうした検索をしたとき、そこにあなたの動画があるかどうか。

再生数が少なくても、「探している人」に届けば、それは立派な成功です。

では、検索される受け皿を作るために、何から始めればいいのでしょうか。
👉 目的別に整理した導入・活用ルートはこちら

データが示す「見えない成果」

動画を見て、すぐに買うわけではない。
けれど、後日ふと思い出して来店する。

この「検討(Consideration)」という時間は、
数字としては見えにくい一方で、ビジネスの成果を静かに支えています。

成果が見えにくいからといって、効いていないわけではありません。
測りきれていないだけのことも多いのです。

では、こうした「検討」や「検索」を、どこまで数値として捉えることができるのでしょうか。
👉 計測のズレを直したい人向けの記事はこちら

評価の軸を「再生数」から「検討」へ取り戻す

モチベーションを保つために必要なのは、評価の軸を自分たちの設計段階に戻すことです。

  • × 再生数
     100万回再生を目指す必要はありません。
  • ○ 保存数
     「後で行こう」と思った人の数。これは、かなり強い意思表示です。
  • ○ 指名検索
     動画を見たあとに、Googleマップや公式サイトで店名を検索した人が増えているか。

派手ではありませんが、実務としては、こちらのほうがずっと健全です。

見えない成功を、失敗と呼ばないために

TikTokでの成功が見えにくいのは、
向いていないからでも、能力が足りないからでもありません。

多くの場合、成功を測る前提が、まだ設計されていないだけです。

「地域の人が検索したとき、信頼できる選択肢として、そこにいること。」

平均年齢39.2歳の「大人たち」が見ているこの場所で、静かに、しかし確実に信頼を積み上げていく。

このブログは、成功を誇る場所ではありません。
「やる・やらない」を含めて、判断の基準を取り戻すための場所です。

TikTokの仕様や考え方を、公式情報ベースで整理したい場合は、こちらも参考になります。
👉 公式の仕様を理解したい

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