AIMは、何を変えようとしているのか
広告の成果を見ていると、「数字は出ているが、本当に広告のおかげなのか分からない」という状態に何度も出会う。
インクリメンタリティ(増分)を測りたい、という欲求自体は昔から変わらない。
ただ、それを実行できる場面は限られていた。
AIM(Always-On Incremental Measurement)は、この状況を変えようとする考え方。
AIMとは何か
AIMは、広告の増分効果を“常時”把握しようとするアプローチ。
従来、インクリメンタリティの検証は、
- ホールドアウトテスト
- 地域分割
- 期間比較
といった、一時的・実験的な方法で行われてきた。
AIMはこれを、「特別な検証ではなく、通常の広告運用の中で継続的に意識したい」という発想に置き換える。
次世代のMMM(メディアミックスモデリング)の一形態であり、従来のMMMをAIとSaaS技術で進化させ、リアルタイムに近いスピードで増分を常時計測(Always-On)できるようにしたもの。
なぜ「Always-On」なのか
MMM(メディアミックスモデリング)は、広告全体の構造を理解するには有効だが、
- 分析に時間がかかる
- 更新頻度が低い
- 運用判断とタイミングが合わない
という弱点がある。
一方で、LTA(ラストタッチ)などの即時指標は、
- 数字はすぐ見える
- ただし増分かどうかは分からない
AIMは、この間にある空白を埋めようとする。
- MMMほど重くない
- LTAほど短絡的でもない
中間の視点を、常に持ち続けるための設計。
AIMが「Always-On」である理由は、データがクラウドに保存され、AIが自動で分析を行うSaaSベースの仕組みだから。これにより、分析時間を数ヶ月から数時間に短縮している。
AIMがやろうとしていること
AIMの基本的な考え方はシンプル。
- 常時データを取り込み
- 統計的な補正を行い
- 「広告がなかった場合」を推定する
そして、「観測された成果のうち、どこまでが広告由来と考えられるか」を運用に近いタイミングで把握しようとする。
成果を「出た/出ない」で見るのではなく、構成要素として分解するための視点。
AIMはMMMの一部
AIMはMMMの一部であり、従来の静的なMMMを置き換える、動的なSaaS型ソリューション。
- MMM:
過去を振り返り、全体構造を理解する - AIM:
進行中の施策を、増分視点で調整する
AIMの前提条件と難しさ
AIMは魅力的だが、成立させるための前提条件も多い。
- 十分なデータ量
- ノイズを吸収できる設計
- モデルの仮定への理解
また、
- 短期変動と増分を切り分けられるか
- 推定結果をどう解釈するか
という問題も残る。
「常に見えている」ことと、「正しく見えている」ことは別。
なぜ今、AIMが語られるのか
AIMが注目される背景には、
- プライバシー制限の強化
- SANによる乖離
- ラストクリックへの不信感
がある。
正確な帰属が難しいなら、構造として評価しようという流れ。AIMは、この流れの中で生まれた現実的な折衷案とも言える。
ある事例では、「AIMはラストタッチ(LTA)と比較して、約1.4倍(106件 vs 74件)の成果を特定」。
AIMが向いている問い
AIMが向いているのは、次のような問い。
- この施策は、続ける意味があるか
- 予算を増やした場合、伸び代はあるか
- KPIと売上のズレは、どこから来ているか
正解を断定するためではなく、判断の精度を上げるための材料。
メモ
- AIMはツール名というより、考え方の名前に近い
- インクリメンタリティを、年に一度の検証ではなく「前提条件」にする
- ラストクリックを絶対視しない
- 数字の増減を、そのまま成果と見なさない
合わせて考える:
- インクリメンタリティ(増分)とは何を測ろうとしているのか
- MMM(メディアミックスモデリング)は、何を測ろうとしているのか
- LTAとMMMを併用するという考え方
