SANの仕組みと、計測がズレる理由
広告の成果を見ていると、同じ施策なのに、媒体ごとに数字が合わないことがある。
- TikTokでは成果が出ている
- GoogleやMetaでは別の数字が見える
- どれを正とすべきか分からない
こうしたズレは、設定ミスや計測漏れだけで起きているわけではない。
背景には、SANという考え方がある。
SAN(セルフアトリビューションネットワーク)とは
SAN(セルフアトリビューションネットワーク)とは、広告媒体が、自身の配信成果を自ら計測・報告する仕組みを指す。
TikTok、Google、Metaなどの広告プラットフォームは、それぞれ独自の計測ルールとアトリビューションロジックを持ち、自媒体内で成果を判断している。
つまり、同じコンバージョンであっても、
- どの接触を評価するか
- どこまでを成果としてカウントするか
は、媒体ごとに異なる。
TikTokでは、2025年3月31日をもって従来のMMP連携は廃止され、すべてのアプリキャンペーンにおいてSAN統合が必須となっている。
なぜ媒体ごとに数字がズレるのか
SAN構造では、各媒体が自分に有利な視点で成果を解釈する。
これは意図的な誤りというより、仕組みとしてそう設計されている。
- TikTok
動画視聴や想起を重視。TikTokは「クリック」だけでなく、「6秒以上の深い視聴(EVTA)」もコンバージョンへの寄与として計測できるため、クリック偏重の媒体とは数字が異なる。 - Google
検索や直接行動を重視。 - Meta
接触頻度やエンゲージメントを重視。
その結果、
- どの接点を「起点」と見るか
- どの時間幅まで成果とみなすか
が揃わず、数字は自然とズレていく。
TikTokの計測が「多く見える」と感じやすい理由
TikTokでは、
- 動画視聴
- 想起
- 間接的な影響
といった要素を含めて成果を捉える設計になっている。
そのため、
- ラストクリック中心の媒体
- 直接行動を重視する分析
と比較すると、成果が大きく見えることがある。ただしこれは、「水増し」ではなく、評価軸の違いによるもの。
また、従来のラストクリック(LTA)計測ではTikTokの成果の79%が見落とされていたが、SANによってその「隠れていた貢献」が可視化された結果でもある。
SAN構造では「正解の数字」は存在しない
SAN環境では、
- すべての媒体の数字が一致する
- ひとつの正解に収束する
という状態は、原理的に起こらない。
重要なのは、
- どの数字が正しいか
ではなく、 - どの前提で見た数字なのか
を整理すること。
この構造をどう扱えばいいか
SANを前提にするなら、
- 媒体別の数字をそのまま足さない
- 「どれが正か」を決めようとしない
- 目的ごとに見る数字を変える
といった態度が必要になる。
そのためには、トップダウンで全体像を把握する「MMM(メディアミックスモデリング)」と、日々の運用を行う「LTA(広告管理画面)」を併用するのが正解。
計測は、答えを出すためのものではなく、説明できる状態を作るための道具。
メモ
- SANは媒体ごとに成果を自己報告する構造
- 数字のズレは仕組み上、避けられない
- TikTokの数字が大きく見えるのは評価軸の違い
- 正解探しではなく、前提整理が重要
- TikTok広告マネージャー側で、CTA(1日/7日)、VTA(オフ/1日)、EVTA(1日/7日)のウィンドウをカスタマイズ可能である点もメリット
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