「LTAとMMMを併用する」という考え方
広告の評価をめぐる議論はしばしば「どちらが正しいか」という形になる。
- ラストタッチは短絡的だ
- MMMは現場で使えない
ただ、この対立自体が、問いを取り違えていることも多い。
LTAとMMMは、同じものを違う角度から見ている。
LTAが答えようとしている問い
LTA(Last Touch Attribution)が答えようとしているのは、「この成果を、どの接点に帰属させるか」という問い。
- 日々の運用判断
- 施策間の比較
- KPI管理
に向いている。
一方で、LTAは構造を見ない。
- なぜその成果が生まれたのか
- その接点がなければどうなっていたのか
こうした問いには、答えない。
MMMが答えようとしている問い
MMM(メディアミックスモデリング)が扱うのは、「売上全体は、何によって動いているのか」という問い。
- チャネル配分
- 中長期の投資判断
- 広告以外の要因の影響
を見るためのもの。
MMMは細部を見ないため、
- 個別施策の良し悪し
- 今日・今週の調整
には向かないとされていたが、現在はAIやSaaSを活用した「次世代MMM(AIM)」が登場しており、以前よりも迅速に、細かい粒度での分析が可能になりつつある(欠点が解消されつつある)。
対立しているように見える理由
LTAとMMMの結果が噛み合わないとき、どちらかが間違っているように感じる。
しかし実際には、
- LTAは「配分」の話
- MMMは「構造」の話
見ているレイヤーが違う。
同じ数字を使っていても、答えている問いが違えば、結論が一致しないのは自然。
“併用する”という発想
“併用”とは、平均を取ることでも、折衷案を出すことでもない。
- LTAは、運用のために使う
- MMMは、評価のために使う
役割を分けるということ。
たとえば、
- LTAで配信調整を行い
- MMMで「効いていたか」を振り返る
という関係。
「LTAだけでは、TikTokの成果を最大23倍も過小評価してしまう可能性がある」というデータもあることから、併用が必然と考えられる。
インクリメンタリティとの関係
インクリメンタリティは、「広告がなければ、本当にその成果は生まれなかったのか」という問い。
- LTAだけでは答えられない
- MMMだけでも断定できない
だからこそ、
- 個別接点の動き
- 全体構造の変化
両方を見る必要がある。
“正解を出さない”という選択
LTAとMMMを併用するという考え方は、「どちらが正しいか」を決めない。
代わりに、
- 何を判断したいのか
- そのために、どの視点が必要か
を先に置く。
評価の迷いを減らすのは、新しい手法ではなく、問いの整理であることが多い。
実践方法
TikTok広告マネージャーには「MMMデータ」を取得する専用機能があり、オーガニック(アーンド)効果も含めてデータ抽出ができる。
メモ
- 判断軸を残すために、数字を1つに集約すると分かりやすくなる
- その分、失われる情報も増える
- LTAとMMMを併用するというのは、分かりにくさを残す選択でもある
- 役割の整理として、「LTA=キャンペーン最適化(ボトムアップ)」「MMM=予算最適化(トップダウン)」と考えるとクリアになる
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